三連休中日となった文化の日の今日、「2019年度 第98回 全国高校サッカー選手権大会 福岡大会 二次予選」の三回戦残り2試合が、福岡県小郡市にある小郡市陸上競技場で行われた。
昨日とは打って変わって、太陽は薄い雲に覆われ、気温もさほど上がる事は無かった。
それはまるで、これから行われる試合が進むに連れて上がるピッチ上の熱を、待っているかの様な感じがした。
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11時にキックオフされた第1試合「希望が丘高等学校×九州国際大学付属高等学校」。
初戦となった小倉東高等学校戦を、4−1の勝利で勝ち上がって来た希望が丘高等学校(以下、希望が丘)に対し、八幡高等学校に苦戦しながらも延長戦で勝利した九州国際大学付属高等学校(以下、九国)。この対戦は、インターハイ予選でもぶつかり、延長戦の末九国が1−0で勝利したが、その時以上に九国は、希望が丘に最後まで苦しめられた。しかし待っていたのは、どんな優れた脚本家や作家にも描けないような、劇的な結末が待っていた。

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希望が丘高等学校 スタメン
GK 1 青井 道寛
DF 2 小林 将大 4 野原 広平 6 チェ カンウ 16 富田 匠麿
MF 5 山口 天也(C)7 松本 蓮 8 岩切 楽 10 汐先 悠介 
FW 11 小田 北登 15 齋藤 吏玖 
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九州国際大学付属高等学校 スタメン
GK 12 木下 魁人
DF 2 稗田 凌太(C)3 宮本 武 4 吉田 晃 5 花田 周勇 
MF 6 阿比留 将栄 7 尾木 滉 8 高月 海 14 森永 将斗  
FW 9 吉田 直樹 11 坂下 快

最初にチャンスを掴んだのは九国。開始3分に右コーナーキックのチャンスを得ると、4番吉田選手が頭であわせるが、惜しくもゴール上に。
12分にも、左から右の大きな展開から、9番吉田選手がディフェンダーを交わし、中へ折り返すが、14番森永選手のヘディングシュートも、ゴール上へ。
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その1分後にも、左からのクロスのこぼれ球を、吉田選手が中へ折り返しに、最後は2番キャプテンの稗田選手がシュートを放つが、惜しくも左に外れてしまう。
九国のパス回しに、徐々に対応して行った希望が丘も、奪ってから速い攻撃を仕掛け、11分には10番汐先選手がドリブルから中へ切れ込み、シュートまで持って行くが、これは九国のゴールキーパー木下選手の正面を突く。
中盤で主導権を握りたい九国と、渡したくない希望が丘の攻防が続く中、僅かな隙を見逃さなかった希望が丘が、試合の均衡を破るゴールを奪う。
後方からのクリアボールが短くなった所を、猛ダッシュで奪いに行った左サイドバックの2番小林選手。ボールをキープすると、直ぐに7番の松本選手に預け、松本選手からのラストパスを受けた11番小田選手が、相手ディフェンダーを背負いながら、鋭い反転からゴール左隅にシュートを突き刺し、希望が丘が欲しかった先取点を奪った。
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初戦に続き追い掛ける立場となった九国だったが、慌てる事なく攻め込み、セットプレーから多くのチャンスを得るが、希望が丘のゴールキーパー青井選手の果敢なプレーや、ポストにも嫌われ、ゴールが割れない。先制した事で、守備意識も一段と高まった希望が丘。中盤では7番松本選手、8番岩切選手がカバーに動き、最終ラインでは4番野原選手、6番チェ選手がハイボールを弾き返し、九国の反撃をことごとくはね返していった。 
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前半描いていたプランで終われた希望が丘に対し、重い足取りでベンチに下がる九国イレブン。
その悪い流れは、後半も続く事になった。

後半先手を取る為にも、入りを良くしたかった九国だったが、それを上回る勢いで来たのは、リードしていた希望が丘。
開始7分、後方からのボールを11番小田選手が左サイドできついマークに合いながらもキープし、倒れ込みながら中へ折り返すと、スルスルと上がって来た7番松本選手が左足で、ゴール右隅に突き刺し、希望が丘が貴重な追加点を挙げ、2−0と点差を広げた。
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重苦しい空気の中、このままでは終われない九国も、10番米山選手を投入し、ゲームの打開を図る。
19分に左からのコーナーキックが流れ、右から11番坂下選手が上げたクロスに、米山選手が頭で合わせるが、希望が丘のキャプテン5番山口選手が間一髪の所でブロックし、チームのピンチを救う。
希望が丘イレブンの気迫溢れるディフェンスに、25番杉本選手を入れても、なかなか九国はゴールをこじ開けられず、時間だけが過ぎて行く。
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残り時間も10分を切った所で5バックにし、逃げ切りを狙う希望が丘に対し、九国も4番吉田選手を前線に上げ、最後の望みを託す。
ゴール前に何度もハイボールを上げ、希望が丘も必死に跳ね返し続けていたが、39分、左からの3番宮本選手のクロスに、25番杉本選手が意地のヘディングシュートを押し込み、九国は1点を返す。
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1点は返されたとは言え、希望が丘のリードに変わりはない。
残り時間のアディショナルタイム5分を凌ぎ切れば、勝利を掴めるはずだったが、息を吹き返した九国は、最後まで勝利を諦めない気迫で、奇跡とも呼べる同点ゴールを呼び込み、試合を振り出しに戻す。
アディショナルタイムの1分、左サイドでボールキープした4番吉田選手のボールを、10番米山選手が中へ折り返すと、走り込んで来た8番高月選手がロングシュート。ゴールマウスを捉えたボールは、ブロックした希望が丘の選手に当たってコースが変わり、ゴールキーパー青井選手が目一杯手を伸ばすも、そのままゴールに吸い込まれ、九国が土壇場で追いついて見せる。
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80分の激闘では試合は収まり切らず、延長戦へと突入した。

インターハイの悔しさをバネに、追いつかれたとはいえ、最後の力を振り絞り守り続ける希望が丘。
延長前半の九国の攻撃は守り切ったが、後半ついに力尽きる。
5分、右からのコーナーキックを8番高月選手がゴール前に折り返す。ゴール前は混戦となるが、4番吉田選手が押し込み、これが決勝ゴールとなる。
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歓声と悲鳴が交互に飛び交った100分の死闘は、九州国際大学付属高等学校が、希望が丘高等学校の粘り強い戦いに最後まで苦しめられながらも勝利し、準決勝へと駒を進めた。
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