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レベルファイブスタジアム。
福岡市博多区にある、博多の森の愛称で知られる東平尾公園内にあるこのスタジアムは、ここを本拠地にするアビスパ福岡の歴史と共に、多くの歓喜と哀しみのドラマを生んで来た場所。
そして、その場所でプレーをする事を夢にしていたアカデミーの選手達の多くは、そこでプレーする事は叶わないまま、クラブを卒団して行った。

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その夢舞台を目指して『2019 Jユースカップ 第27回Jリーグユース選手権大会』を戦って来たアビスパ福岡Uー18(以下、アビスパ)の選手達。雁ノ巣から始まったトーナメント戦を、時之栖、福島と転戦を勝ち上がって、クラブ史上初のベスト4に進出。準決勝が行われるホームスタジアムでの戦いを、自らの手で掴み取って帰って来た。
頂点まで、あと2つ。更なる歴史を刻むべくホームに迎えたのは、過去4回の優勝を誇るガンバ大阪ユース(以下、ガンバ)。
同じプレミアリーグWESTに所属し、直近のリーグ戦では1−8と大敗を喫した相手。
そんな相手に対し、アビスパのエンブレムとプライドを持って戦う若蜂の選手達を応援しようと、駆けつけた多くの観客の前で見せた試合は、その大声援に応え、最後まで恐れる事無く戦った選手達の、新しい歴史へ挑戦する戦う姿だった。

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アビスパ福岡U−18 スタメン
GK 1桜木 亮太
DF 2 加嶋 英斗 3 鷹巣 直希 5 森山 公弥  23 松本 幸樹
MF 11 田村 奎人 14 渡辺 海斗 38 藤原 尚篤
FW 8 松田 知己 9 石井 稜真 15 軸丸 大翔

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ガンバ大阪ユース スタメン
GK 1 駒井 幸弘
DF 2 奥田 勇斗 4 西村 翔 5 高橋 直也 12 久保 賢侑
MF 6 長尾 優斗 10 食野 壮磨 13 福井 和樹 14 中野 歩  32 菅野 隆星
FW 18 大谷 優斗
 
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一発勝負のトーナメント戦。そしてリーグ戦での大敗もあって、先ずは無失点で前半を乗り切りたいアビスパだったが、多くの声援が逆にプレッシャーになったのか、7分に不用意なバックパスを奪われピンチを招くが、ゴールキーパー桜木選手がシュートをブロック。弾いたボールに、ガンバ10番の食野選手がミドルレンジからシュートを放つも、このシュートも桜木選手が好セーブで防ぎ、チームに檄を飛ばした。
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何とかボールを奪い、カウンターを仕掛けたいアビスパは、9分に5番森山選手が中盤でボールをカットすると、楔のパスを15番軸丸選手へ。軸丸選手はドリブルから左にはたき、8番松田選手はシュートまで持って行くが、ガンバのゴールキーパー駒井選手もしっかり反応し、得点を許さない。
アビスパの守備網に対し、ギャップを作ってパスを繋いで来るガンバ。相手の裏を取り、再三チャンスは作るものの、桜木選手の好守や、最後まで必死に食らいついて来るアビスパの前に、なかなかゴールを割る事が出来ない。34分には右サイドを崩し、最後は18番大谷選手がこぼれ球をシュートまで持って行くが、ポストに嫌われ、先制ゴールとは成らず。
前半残り時間も10分も切り、何とか無失点で切り抜けたかったアビスパだが、連携ミスからコーナーキックを与えてしまい、そのミスをガンバは確実にモノにする。
39分、32番菅野選手のボールに、6番長尾選手がニアに流れ頭で合わせ、ガンバが貴重な先取点を奪った。
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先制を許してしまったアビスパは、44分には39番山根選手のシュート。そこで得たコーナーキック。アディショナルタイムには、8番松田選手がドリブルからシュートとチャンスは作れてはいたが、同点に追いつく事は出来ず、前半はガンバリードで終えた。
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先ずは試合を振り戻したいアビスパだったが、その時間は後半直ぐに訪れる。
開始10秒で得た、深い位置での右からのスローイング。11番田村選手は、ゴール前にロングスローを入れるがクリアされる。しかし、ガンバのクリアが短くなった所に、ボールを奪取したのは田村選手だった。上手いトラップでボールを落ち着かせると、中へ切れ込みながら、僅かに空いたコースに左足一閃。さすがのゴールキーパー駒井選手も一歩も動けず、実況のアナウンサーも「スーパーゴール!!」と叫んだシュートがゴール右隅に突き刺さり、アビスパが後半1分に同点に追いついた。
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記者席の前の観客も総立ちとなる程のゴールで追いつき、ここから逆転を目指したかったアビスパだったが、高い個の技術と円熟味さえ感じる連携で、直ぐに突き放した。
後半5分、センターサークル付近でボールを受けた32番菅野選手は、アビスパのセンターバックの間に、まるで針の穴に糸を通すようなスルーパスを通し、それに反応した13番福井選手がディフェンダーを振り切ると、最後は冷静にゴールキーパー桜木選手も交わし、無人のゴールにシュートを決め、2−1と再度点差を広げる。
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喜びも束の間、瞬く間に再度リードを許してしまったアビスパだったが、16分にエースの9番石井選手をピッチに送り込むと、徐々に攻撃にリズムが生まれ、ガンバを押し込む時間が増えて行った。
17分、後方からのロングフィードに石井選手が競り勝つと、逸らしたボールに8番松田選手が飛び込むが、ゴールキーパー駒井選手が勇気を持って飛び込み、コーナーキックに逃れる。
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このコーナーキックのチャンス、駒井選手が弾いたボールに5番森山選手が右足でシュートを放つが、ガンバも必死のブロックで決定機を阻止し、ゴールを許さない。
それでも、スタジアムにこだまする「アビスパオーレー!」の大合唱に後押しされ、攻め続けるアビスパ。
31分、左からの田村選手のロングスローに、中央で3番キャプテンの鷹巣選手が頭であわせるが、駒井選手が両手でしっかりキャッチ。
40分には、左コーナーキック付近でボールをキープした9番石井選手が、ディフェンダー2人に囲まれながらも抜き去り、12番田代選手へと繋ぎ、最後はペナルティーエリアに進入した38番藤原選手がシュート。
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しかしこれも、抜群のポジショニングを見せる駒井選手の正面を突き、44分のフリーキックのチャンスも、石井選手が頭で合わせに行くが、駒井選手の前に防がれ、1点のビハインドが重くのしかかる。
45分には、ガンバの5番高橋選手に駄目押しとなる、3点目のゴールを奪われてしまう。
アディショナルタイムに入り、最後の攻撃を仕掛けるアビスパだったが、相手ゴールラインを割った瞬間、長峯主審の試合終了のホイッスルが鳴り響きタイムアップ。
3−1で勝利したガンバ大阪ユースが、完全アウェーにも関わらず見事な勝利を収め、決勝へと駒を進めた。
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決勝進出はならなかったが、クラブ史上初のベスト4。3位という立派な成績を納めたアビスパ福岡U−18の選手達に、1000人を越す観戦者から、惜しみない拍手がいつまでも送られた。
この光景を選手達は脳裏に焼き付け、プレミアリーグ残留に向けて残りの4試合。自分達の未来、後輩達の夢へと繋げて行って欲しい。
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