IMG_7083
11月に入り、いよいよ今年も残りわずかとなった令和元年の、2019年シーズン。
高校世代では、各県の選手権代表が続々と決まり、盛り上がりを見せている中、その上のカテゴリーの1つでもある大学サッカーリーグも、優勝争い、年末のインカレへの出場権、そして降格争いと、佳境を迎えている。
IMG_7090
IMG_7091
九州大学サッカーリーグの優勝争いは、前々節首位に立った鹿屋体育大学(以下、鹿屋)が前節九州産業大学戦で痛い引き分けに終わり、福岡大学(福大)は宮崎産業経営大学に6-1と勝利し、首位に返り咲いた。
大一番となった、直接対決の今節。勝利すれば福大の優勝が決まってしまう為、鹿屋は今節勝利し、最終節に逆転優勝の望みを繋ぎたい。
大勢の観客やファンが詰め掛けた鹿屋に対し、福大も多くの部員を動員し、この一戦に全力を捧げられた90分は、トーナメント決勝の様な緊迫した雰囲気の中で行われた。

IMG_7110
鹿屋体育大学 スタメン
GK 1 平田 皓太郎
DF 3 濱口 功聖 4 坂口 祥尉 5 奥田 雄大 13 平岩 諒大 30 宮嵜 海斗 
MF 8 田中 大和 23 山口 卓己 29 比嘉 将貴
FW 10 藤本 一輝 16 根本 凌

IMG_7114
福岡大学 スタメン
GK 21 真木 晃平
DF 4 河野 秀汰 5 饗庭 瑞生 12 阿部 海斗 23 前野 翔伍 
MF 6 河原 創 8 大熊 健太 25 田中 順平  
FW 7 井上 健太 9 梅木 翼 10 梅田 魁人 

IMG_7123
試合開始のホイッスルから、バチバチと激しいバトルが繰り広げられるピッチ上。
中盤での激しい主導権争いを潜り抜け、相手ゴール前までボールは運ぶものの、堅い守備の前になかなかシュートまで持って行けない両チーム。
それならばと、セットプレーで活路を見出そうとするものの、厚く高い壁の前に弾き返され、決定的な場面は見られなかったが、静かながらも熱い攻防を繰り広げる両チームに、この日集まった500人の観客も、一瞬も目が離せない状況に、固唾を呑む時間が過ぎて行った。
最初にチャンスを作ったのは、ホームの鹿屋。優勝するためには絶対に負けられない一戦に、2トップが起点になり、福大ゴールに襲い掛かる。
21分、3番濱口選手のロングフィードを、16番根本選手が競り勝ち、ボールを納め、10番藤本選手に渡るものの、ここは惜しくもオフサイドの判定。
24分にも、後方からのボールを左サイドで受けた藤本選手が、懐の深いドリブルからチャンスメイクし左コーナーキックのチャンスを作るが、8番田中選手のシュートは相手にブロックされ、先取点がなかなか奪えない。
IMG_7125
IMG_7128

首位に返り咲き、断然優位に立つ福大だったが、鹿屋に先制されれば、逆に苦しい立場に追い込まれる為、先ずは失点をしない様に、しっかり2列のブロックを敷き、組織的な守備で慎重なゲーム運びをしていた。
ボールを奪えば、高く、強く、そして速い選手が揃うフォワード陣。35分、右サイド深くまでボールを運び、クロスを再度折り返し、最後は10番梅田選手が強烈なシュートを放つが、惜しくも左に逸れてしまう。
堅いブロックの前にゴールが割れない鹿屋だったが、前半終了間際に決定機を迎える。
37分、左サイドの藤本選手がゴールラインギリギリをドリブルで突破し、中へ折り返すと、8番田中選手には合わなかったが、走りこんで来た4番坂口選手が勢いそのままに、強烈なシュートを右足から放つが、シュートは僅かにゴール左へ。
残り時間、突破口を開こうと藤本選手にボールを集め、何とか福大の壁に亀裂を入れようとするが、人数を掛け、最後まで集中した守備を見せる相手に、前半シュート2本に抑えられた鹿屋。
対する福大も、梅田選手のシュート1本で終わり、前半は両チーム無得点で終えた。

勝つ為に、先手を取りたい鹿屋は後半13分、右サイドの4番阪口選手から、前のスペースに抜け出した8番田中選手がゴール前にクロスを送るも、相手にブロックされてしまうが、右のコーナーキックのチャンスを掴む。ゴール前に上がったクロスはクリアされるが、混戦の中から16番根本選手がシュート。
しかしここも、福大が体を張ってブロックし、ゴールを割らせない。
福大もその1分後、中盤でボールを奪うと、6番河原選手が鋭い楔のパスを梅田選手に入れ、振り向きざま梅田選手は左足から強烈なシュートを放つが、このシュートも決まらない。

こう着状態が続く中、両チームの指揮官は21分に、同じ背番号14番の今田源紀選手(福大)、木橋朋暉選手(鹿屋)を投入。攻撃力が高い両選手に現状打破を求め、勝負に打って出る。
前線でスペースを作る福大の今田選手に促される様に、徐々に攻撃の圧が増えて来た福大に、少しづつ押し込まれて行った鹿屋。30分、ゴール前に上がったクロスに、クリアが小さくなった所を10番梅田選手に拾われシュートを打たれると、味方に当たりコースが変わるが、ここは鹿屋の守護神平田選手が抜群の反応で好セーブし、チームのピンチを救った。
しかし勢いに乗った福大は、傾いて来た流れをモノにしようと、前線から激しいプレスを鹿屋の最終ラインに掛けると、33分、ついに先取点を奪い取る。
猛然とプレスを掛けた梅田選手がボールを奪うと、ショートカウンターを仕掛け、手薄になったゴール前に折り返すと、最後は14番今田選手が流し込み、ついに試合の均衡が破れる。
IMG_7162
IMG_7164

その10分後には、右からのクロスが相手に当たり、足元に来たボールを梅田選手は冷静に後ろへ流すと、ここも今田選手が落ち着いてゴール右隅にシュートを決め、勝利、そして優勝を手繰り寄せる、貴重な追加点を奪った。
IMG_7171

小さな応援団も駆けつけ、最後まで戦い続けた鹿屋だったが、アディショナルタイムに入り、右からの木橋選手のクロスに、23番山口選手が頭で合わせるが、ボールは無情にもゴール上に外れ、その瞬間、主審の試合終了のホイッスル。
IMG_7177

リーグ終盤までデットヒートを繰り広げた両校の対決は、福岡大学が2−0で勝利し、リーグ3連覇を達成。九州第1代表として、12月11日からの『全日本大学サッカー選手権大会』に出場する。
2位に終わったものの、今シーズンは天皇杯でもその名を轟かせてくれた鹿屋体育大学。最終節で決まる第3代表校と共に、九州の代表として、全国大会での活躍を期待したい。
IMG_7185