朝から雨が降り注いでいた福岡。
13時キックオフの試合に、雨の中での取材も覚悟したが、今日の目的地に着く頃には雨も止み、試合中は太陽も顔を覗かせ、両校が見せてくれた白熱した試合を、最後まで温かく見守ってくれていた。
長かった『高円宮杯 JFA Uー18 サッカープレミアリーグ 2019』戦も、のこり3節。福岡県から参戦中の2チームは今季苦しみ、残留争いの渦中にある。
IMG_7253
その内の1チーム東福岡高校(以下、東福岡)は、今節勝利すれば残留が確定し、水曜日初戦となる選手権大会予選の準決勝にも弾みがつく。
しかし、そこはユース世代最高峰のリーグ戦。1つも、勝ち点を計算出来るチームなど存在しない。
今節の対戦チームは現在4位に着け、選手権大会常連の熊本県の強豪、大津高校(以下、大津)。
実は密かにこの対戦を楽しみにし、今年も選手権大会出場が決まった、同じ高体連のチーム相手に東福岡が、どんな試合をするのかに注目していたが、残念ながら、大津は県大会決勝で敗退し、全国への道は絶たれていた。
IMG_7256
この試合に対してのモチベーションが、少し心配されたが、そこは大津のプライドを背負って戦っている選手たち。こちらの心配をよそに、アウェイの地まで駆けつけた大応援団の前で、気持ちの入ったプレーを随時見せ、タイトな連戦がスタートした東福岡に、これからの戦いの厳しさを突きつけた。

IMG_7264
東福岡高校 スタメン
GK 14 金森 いぶき 
DF 3 田頭 亮太 4 丸山 海大 5 大串 啓太郎 30 野村 佳楠 
MF 7 水野 畝蓮 10 荒木 遼太郎(C)17 青木 俊輔 18 上田 瑞季 23 田尻 将太 
FW 9 田中 角栄

IMG_7265
大津高校 スタメン
GK 1 福山 翔紀
DF 2 本多 陸也 3 麻生 恭平 4 金子 遼太郎 12 猪谷 匠
MF 10 濃野 公人(C)14 藤井 瑛斗 18 大島 清 31 森田 大智  
FW 9 半代 将都 11 宮原 愛輝

IMG_7270
試合開始のホイッスルから、試合の主導権を握ったのは東福岡。立て続けにセットプレーのチャンスを作るも活かせず。
14分には、センターサークル付近から、30番野村選手はゴール前にボールを送りクリアされるが、ボールを拾った東福岡の10番、主将の荒木選手がシュートを放つも、大津のゴールキーパー福山選手の正面を突く。
IMG_7274
自陣前にブロックを作ってくる大津にボールは持て、ゴール近くまでは攻め込みながら、なかなか決定機までは作れない東福岡。
慎重な入りだった大津も、徐々に流れを引き寄せると、23分。左サイドから仕掛けた18番大島選手の突破から得たコーナーキックを得ると、ゴール前混戦の中から、シュートがゴールに吸い込まれそうになるが、野村選手が辛うじてクリアし、東福岡は難を逃れる。
この一戦に賭ける両校の、様々な想いが積み重なり、先取点の重みが時間の経過と共に増す中、均衡を破ったのはホームの東福岡だった。
34分、18番上田選手がドリブルで中央を突破。荒木選手にボールは渡るも、少しトラップが乱れ、ボールが足元から大きく離れた瞬間、勢い良く走りこんで来た17番青木選手が渾身の左足シュート。
ボールは福山選手の手を弾き、そのままゴール右に吸い込まれ、欲しかった先取点が東福岡に入る。
IMG_7282

良い時間帯でのゴールに沸き立つ東福岡イレブンだったが、ここから、なかなか波に乗れない今季を象徴する様に、すぐに大津に試合を振り出しに戻される。
中盤でのルーズボールを、31番森田選手が素早く拾うと、9番半代選手に楔のパスを入れるが、半代選手は倒され、ゴール前の絶好の位置でフリーキックのチャンスを得る。このチャンスに、11番宮原選手は直接狙うが、シュートはポストに弾かれ、チャンスは逸したかに思われたが、ゴール前につめていた3番麻生選手が押し込み、38分大津は試合を振り出しに戻し、前半は1-1のまま終了する。
IMG_7287

前半の内に追いついた大津は、そのままの勢いで後半スタートから攻勢に出る。4分、11分と東福岡ゴールに攻めこむが、東福岡も必死のディフェンスで、シュートまで持って行かせず。
何とか相手の攻撃を跳ね返した東福岡は、13分決定的なチャンスを迎える。中盤から23番野尻選手が、相手センターバックの間に絶妙なスルーパスを通すと、7番水野選手が抜け出し、シュートまで持って行くが、惜しくもゴール上へ外してしまう。
IMG_7299
21分にも後方からのフィードに、左サイドでボールを受けた荒木選手が中へ切れ込み、途中出場の27番長野選手にパスを送る。長野選手はシュートを放ち、こぼれ球に17番青木選手も反応するが、大津も気持ちの入ったプレーで、体ごとブロックし、勝ち越しゴールを許さない。
その1分後には、右コーナーキックから、18番上田選手がダイレクトでボレーシュートを放つが、ここも大津の堅固な壁の前に、東福岡はゴールを割ることが出来ない。
大津も押し返し、一進一退の攻防が続く中、試合の決着をつけたのは、大津の体の底から湧き上がっていた意地だった。
37分、相手ゴール前の混戦からボールを奪い返した14番藤井選手。9番半代選手とのパス交換から、最後は相手ディフェンダーを交わし、ゴール右隅にシュートを突き刺し、勝ち越しに成功する。
IMG_7311

このままでは終われない東福岡も、猛攻を仕掛けるも、ゴールキーパー福山選手を中心に、跳ね返し続ける大津の守備陣。
44分には、フリーキックを東福岡に与え、荒木選手が放ったシュートはゴール左上隅に吸い込まれると思われたが、福山選手が渾身の横っ飛びで防ぎ、ゴールを死守。
IMG_7320
IMG_7324
アディショナルタイム3分も凌ぎ切り、このまま試合はタイムアップ。
大津高校は、プレミアリーグ上位に着ける実力を見せ逆転勝利。
東福岡高校にとっては、悔いが残る敗戦となった。

今シーズン、全国レベルの大会では思うような結果が出せていない東福岡高校。この逆境を乗り越えられるのか? 水曜日から始まる選手権大会予選、そしてリーグ戦次節のアビスパ福岡U-18との福岡ダービーに、県内絶対王者の東福岡高校の真価が問われる。
IMG_7330