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令和元年も12月に入り、今年も残り1ヶ月。
Jリーグの各カテゴリーでも、優勝、昇格と華やかなニュースが取りざされる中。その一方で、残留を賭けての熾烈な、そして残酷な戦いも、いよいよ最終章を迎えている。
それはトップリーグに限らず、その下のカテゴリーでも同じ。
チームの為、自分達の為、下級生達の為。そして、これまで支えて下さった方々の為にも。
まだ両チームの残留が決まらず、様々な想いと記憶が重なり、決して晴れやかな気分ではなく、取材に向かった今回のユース版福岡ダービー。
『高円宮杯 JFA Uー18 サッカープレミアリーグ 2019 WEST 第17節 東福岡高校×アビスパ福岡Uー18』の決戦の舞台となった、東福岡高校のグラウンドには、まるでこちらの心中を察する様に、明るい太陽の陽射しが差し、目の前のサッカーを最後まで、会場に集まった多くの人々と、楽しませてもらう事が出来た。

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東福岡高校 スタメン
GK 1 野見山 大
DF 4 丸山 海大©️ 15 森川 英智 24 千代島 瞬 32 モヨ マルコム強志
MF 16 佐藤 聡史 19 遠藤 貴成 21 渡邉 葵佑海 36 野添 永遠 37 酒井 大斗
FW 27 長野 星輝

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アビスパ福岡U−18 スタメン
GK 1桜木 亮太
DF 2 加嶋 英斗 3 鷹巣 直希 5 森山 公弥  
MF 11 田村 奎人 12 田代 紘希 14 渡辺 海斗©️ 15 軸丸 大翔 38 藤原 尚篤
FW 8 松田 知己 9 石井 稜真 

4日前に、選手権福岡大会準決勝を戦った東福岡高校(以下、東福岡)。3日後には決勝と、タイトなスケジュールの中で迎えた今節。
普段のスタメンとはガラッと変えて来たが、そこは実力者が揃っている東福岡。もちろん、選手権大会本戦のメンバー入りに向けて、モチベーションも高く、この試合に挑んで来た。
対するアビスパ福岡Uー18(以下、アビスパ)は、前節から1名メンバーが変更されただけだが、他にも変化が見られた。キャプテンマークが、14番渡辺選手の腕に。試合後に井上監督はその事を「何かチームに変化をもたらしたくて、選手達自身に気づかせる為に行なった」と話してくれた。

キックオフ2時間前に到着した時には、2〜3名しか居なかった観客も1時間前には続々と集まり、注目の一戦に多くの人々が集結した東福岡高校グラウンド。選手権福岡大会の決勝の相手、筑陽学園高校も駆けつけた決戦は、11時キックオフされた。

ファーストシュートは3分、東福岡の16番佐藤選手が放つが、その4分後にはアビスパの14番渡辺選手もミドルシュート。試合序盤から、一歩も引かない両チームの選手達。
最初にチャンスを迎えたのは東福岡。9分、後方から4番丸山選手のロングフィードが、右サイドに開いていた27番長野選手にピタリと収まると、そのままペナルティーエリアに進入し、長野選手はシュートまで持って行くが、アビスパ守備陣も最後まで食らいつき、シュートブロック。
15分には、左サイドでフリーキックのチャンスを掴むと、21番渡邊選手が左足から絶妙なクロスをゴール前に送ると、中央で32番モヨ選手が頭であわせるが、惜しくもゴール上へ。
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東福岡の攻撃を、高い集中力と粘り強い守備で対抗したアビスパ。25分、チャンスと見るや、果敢なオーバーラップで左サイドを駆け上がった11番田村選手。相手エリア深くまでボールを運ぶと、8番松田選手にラストパスを送るが、シュートは左に外れてしまう。
流れを掴みかけそうだったアビスパだが、28分、自らのミスでピンチを迎える。
不用意なバックパスを、見逃さなかった長野選手がボールを奪うと、そのままゴールに向かってドリブル。決定的な場面だったが、シュートを上に外してしまい、絶好の先取点のチャンスを逸してしまう。
ヒヤリとさせられたアビスパだったが、前半終了間際、こちらも絶好の先取点のチャンスを迎えた。
44分、左サイドで得たフリーキック。ゴール前に上げられたボールは、この日ゴールマウスを守った東福岡の野見山選手がパンチングで弾くが、小さくなったところを、アビスパ5番森山選手がバイシクルシュート。ゴールマウスを捉え、先取点かと思われたが、東福岡も間一髪でクリアし、難を逃れる。
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先に失点を許したくないというよりも、先にゴールを奪いたいという意識が高いゲーム展開。
ゴール前の攻防も多く、会場の熱気にも促される様に、ハイテンションで進んだ前半の45分は、あっと言う間に過ぎてハーフタイムへ。前半は無得点で終わったが、見ていてもワクワクさせてくれる試合に。しかしそのワクワクは、ただの序章に過ぎず、後半始まる前の期待は、軽く超える様な試合展開が待っていた。

後半開始早々、主導権を掴んだのはアビスパ。
4分、前線からのプレッシングからボールを奪うと、最後は8番松田選手がループ気味にシュートを狙うが、惜しくもゴール上へ。その2分後には、右サイドで松田選手が粘ってゴール前にグラウンダーのクロス。中央で待ち構えていた9番石井選手がスルーすると、後ろから走り込んで来た11番田村選手が左足を振り抜くも、シュートを浮かしてしまう。
13分、今度は右サイドからの田村選手のロングスローがゴール前に。3番鷹巣選手が後ろに逸らし、石井選手が頭で合わせるも、ゴールキーパー野見山選手が見事にセーブし、ゴールを許さない。
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畳み掛ける攻撃が続く中、ゴールが生まれず、アビスパ側の観客席からもため息が漏れる中、その空気を変えたのは、やはりチームのエースだった。
ゴール前のピンチを凌ぐと、後方から11番田村選手が、左足で敵陣に深く、美しいロングフィードを放つと、石井選手が大きなスライドで、このボールに追いつくと、相手マークを振り切り、そのままシュート。ボールはゴール右隅に突き刺さり、アビスパが先取点を奪う事に成功する。
石井選手の勢いは止まらず、その8分後には、中央で38番藤原選手からの鋭い楔のパスを受けると、そのまま右足一閃。ボールはゴール左上に吸い込まれる、スーパーゴールで2点目を決める。
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押せ押せムードになったアビスパは、攻撃の手を緩めない。31分、敵陣ゴール前で15番軸丸選手が左に展開すると、田村選手がドリブルからゴール前に高速クロス。それを中央で、松田選手がダイレクトで合わせ、東福岡から3点目を奪った。
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残り時間も15分弱。このままアビスパ完勝かと思われたが、これで終わらないのがダービー。
選手権決勝前、ダービーダブルは許されない状況に、ここから東福岡の猛攻が始まる。
40分、自陣からのフリーキック。途中出場の28番岩井選手が頭で逸らすと、こちらも途中出場の33番日高選手が、ゴールライン割れそうな所を追いつき、相手のマークも振り払うと、そのまま中へ切れ込みながら左足でシュートを決め、東福岡が先ずは1点を返す。
さらに45分、右サイドでボールを受けた21番渡邊選手が、相手のディフェンダーとゴールキーパーの間に、絶妙なクロスを左足で送ると、オウンゴールを誘発し、ついに1点差に詰め寄る。
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アディショナルタイムの掲示は4分。
攻める東福岡、守るアビスパ。ピンチを凌ぐと、攻めるアビスパ、守る東福岡。
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最後の最後まで、戦う姿勢を見せつけてくれる両チームだったが、最後の東福岡の攻撃をアビスパが大きくクリアすると、主審のホイッスルが鳴りタイムアップ。
3−2で勝利したアビスパ福岡Uー18が、何とか最終節まで残留の可能性を残す結果に。
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敗れた東福岡高校も、残留を確定させる事が出来なかったが、ここは気持ちを切り替えて、選手権福岡大会決勝に挑み、リーグ最終節でスッキリ勝利して残留を決め、来年以降もこの両チームの、スリリングでハイレベルなダービーを、多くの人々に見せ続けて欲しい。
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