
日曜日に行われた試合のレポートが、3日後の水曜日という前代未聞の遅さになった事、大変申し訳なく思います。ただ、幸いにも現地で取材した者としては、今尚、真夏の夜のユースダービーの興奮は覚める事はありません。現在の状況では現地で観戦出来なかった皆様へ、少しでも現地の熱量が届けられる様、目一杯書かせていただきたいと思います。
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筑紫台グラウンドでの第1試合の取材を終え、第2試合のカードに後ろ髪引かれながらバイクで走る事10分。空は晴れているのに、突然雨が降り出した。スマホで見た雨雲レーダーでは、東区香椎浜に行く道中は止みそうに無かった。雨具を着る事も考えたが、先ほどの試合で火照った体と、これから行われる試合の興奮で沸騰しそうな脳を冷やして欲しく、雨に濡れる事を選択した。普段の取材では雨は厄介なものだが、この時だけは最高に心地良く浴び続けた。


前置きが長くなったが、25日から群馬県で行われる『第45回 日本クラブユースサッカー選手権(U−18)大会』の出場権を賭けて、その切符をモノにするべく激突したのが「アビスパ福岡U−18×ギラヴァンツ北九州U−18」のダービー。今までも何度もこの対戦が行われ、アビスパ福岡U−18(以下、アビスパ)が勝利して来たが、年々着実に力をつけて来ているギラヴァンツ北九州U−18(以下、ギラヴァンツ )は、もう簡単に戦える相手では無くなっている。
必ず越さなければ行けない壁のアビスパに立ち向かうギラヴァンツ。まだ負けるわけにはいかないギラヴァンツを迎え撃つアビスパ。
来た時に流れていた穏やかさが一変し、張り詰めた空気に変わった18時。これから始まる激闘の開幕のホイッスルが、福岡フットボールセンターに鳴り響いた。

アビスパ福岡U−18 スタメン
GK 31 齊藤 謙二郎
DF 3 伊藤 晃希 5 隅 廣太朗 8 山本 隼輔
MF 6 正村 友希©️ 10 藤原 尚篤 15 田尾 日寿 28 松隈 日向太 30 時志 仁
FW 9 山根 顕星 11 北浜 琉星

ギラヴァンツ北九州U−18
GK 1 重松 和希©️
DF 4 松下 時隆 5 黒川 竜弥 6 児玉 慈元 14 小林 鷹誠
MF 7 池田 幸永 8 掛橋 一真 10 寺嶋 日出郎 29 池元 快斗
FW 9 河野 圭汰 11 藤村 海大
最初に相手ゴールに迫ったのはギラヴァンツ。右に展開したボールを9番河野選手が収め、7番池田選手が速いクロスを上げると、8番掛橋選手が合わせるが、惜しくもシュートは左上に。
対するアビスパも4分。左コーナーキックから、5番隅選手が飛び込むも、ギラヴァンツの守護神でキャプテンの重松選手がガッチリキャッチ。

お互いの選手達の想いが、痛いほどピッチから伝わるスタートだったが、ハイプレッシャーでアビスパのボールホルダーに襲い掛かるギラヴァンツの選手の想いが僅かに上回った。
6分、高い位置でボールを奪取し、細かく繋ぐと、1年生ながらスタメンに名を連ねた29番池元が左サイドから積極的にシュート。アビスパのゴールキーパー齊藤選手は防ぐも、こぼれ球に誰よりも早く反応した11番藤村選手が押し込み、ギラヴァンツが試合開始からあっという間に先取点を奪った。


これで勢いづいたギラヴァンツ。ハイプレスがはまり、アビスパのパスコースを遮断し、反撃する隙を与えない。18分、左サイドで躍動する池元選手のクロスから、11番藤村選手が2点目を狙うも、惜しくもシュートは左に外れてしまう。
なかなか攻め切れないアビスパだったが28分。右サイドの10番藤原選手が前線に送り、11番北浜選手が収めると、左サイドに展開。走り込んだ8番山本選手の折り返しに、9番山根選手が頭で合わせるもミート出来ず、最初の決定機を逃してしまう。
しかし味方のアクシデントで、急遽12分から出場した23番バンフューゾン 春希 クリストファ選手の投入から、徐々に落ち着きを取り戻し、相手に渡していた流れを、アビスパは徐々に引き戻して行った。

その流れを断ち切りたいギラヴァンツは30分。中盤でボールを奪い返すと、10番寺嶋選手が思い切り良くミドルシュートを狙うが、惜しくもゴールキーパーの正面。それから数秒後にも、左サイドから29番池元選手が中へ切れ込みシュートを放つも、この日ゴールマウスを守る齊藤選手の好セーブの前に、決定機を防がれてしまう。

2点目を喫していれば、主導権を渡す結果になっていたかも知れないピンチを、守備陣の踏ん張りで凌いだアビスパ。
奮起したい攻撃陣で先陣を切ったのは11番北浜選手。後方からの1本のパスに抜け出した2年生フォワードは、そのスピードで相手マークを振り切り、ゴール中央へシュートを突き刺し、個の力で試合を振り出しに戻す事に成功する。

同点に追いつき、さらに落ち着きを取り戻したアビスパ。38分、ゴールキーパー齊藤選手からパスを繋ぎ、センターサークル付近で9番山根選手が収めた瞬間、反転して前線にボールを送ると、そこへ右から走り込んで来たのは8番山本選手。トップスピードで相手マークを振り払い、左足から放たれたシュートは豪快にネットを揺らし、アビスパが前半の内に逆転に成功する。


さらに追加点を狙うアビスパは終了間際の42分。左サイドに開いていた11番北浜選手のマイナスの折り返しに、10番藤原選手がゴール前に相手の意表を突くふわりと浮かしたパスを送る。それを9番山根選手がシュートするも、左ポストに強く弾かれ、その跳ね返りに、キャプテンの6番正村選手がミドルレンジからシュートを狙うも、ギラヴァンツの守護神重松選手にガッチリキャッチされ、3点目とは成らず。45分プラス2分の前半があっという間に終了。ギラヴァンツが先制するも、すぐさま逆転に成功したアビスパ。だが、このままでは終わらない期待感をピッチに残し、ハーフタイムを迎えた。

後半に入っても、天井を知らない選手達の情熱。試合再開後、すぐに相手ゴール前で魅せてくれる。
逆転した勢いで攻めるアビスパ。47分、左からの8番山本選手のクロスに、9番山根選手がバックヘッドを狙うも、重松選手が抜群の反応からパンチングで防ぐ。
その3分後のコーナーキックのピンチも、5番隅選手が飛び込んで来るも、勇気を持って飛び込み防いだ重松選手。最後尾からチームを奮い立たせる。

その想いに応えたいギラヴァンツ攻撃陣。52分、右サイドの折り返しに9番河野選手がシュートも、アビスパのディフェンダー3番伊藤選手が体を張ってブロック。その1分後には、相手ゴール前左で細かく繋ぎ、ループパスをさらに29番池元選手が頭で繋いだボールに、河野選手がシュートを狙うも、惜しくもゴール上へ外れてしまった。
ヒヤリとさせられたアビスパだったが、相手に傾きかけた流れを、アビスパの10番を背負う選手の個人技がゴールネットを揺らす。
55分、ペナルティーエリア手前でボールを持った23番バンフューゾン 選手が大きく左へ展開。ポジションチェンジしていた藤原選手にボールが渡ると、普段は柔のイメージが強い藤原選手が、このチャンスを逃すまいと、豪とも言えるトップスピードに乗ったドリブルで、僅かに開いたスペースを切り裂くと、倒れ込みながらも左上隅に豪快に突き刺し、3−1と点差を広げるゴールを奪った。

欲しかったゴールを相手に決められ、苦しい状況になったはずのギラヴァンツだが、誰もが声を出し、真っ直ぐ前を向き反撃に出ると58分。右から左に大きく展開したボールに、29番池元選手がカットインから右足でシュートを放つもバーを直撃。反撃の狼煙となる2点目のゴールがなかなか奪えない。
我慢の時間帯を全員がハードワークを怠らず凌ぎ切ったアビスパに、試合を優位にする4点目が生まれる。68分、右コーナーキックを獲得すると、キッカーの8番山本選手がニアへ鋭く放ったクロスに、飛び込んだのは、リーグ戦でここ数試合ゴールが奪えず、一人大きな責任を背負っていたエース山根選手。相手守備陣が一歩も動けないヘディングシュートを突き刺し、4−1とさらに点差をつける。


このままでは終われないギラヴァンツは、藤村、池元両選手に替え、35番泉田、43番内田の1年生選手を同時投入し、最後まで戦い、走り続ける事を、樋口監督はピッチ内外の選手達へ伝達する。

1点。1ゴールさえ奪えれば、何かが生まれてもおかしく無い、ダービーの独特の雰囲気が、ギラヴァンツに再び流れ始める。78分、左サイドへポジションチェンジした7番池田選手が中へ切れ込みシュートも、齊藤選手が横っ飛びで防ぎ、これで与えた左のコーナーキックも、パンチングで防ぎ、冷静さを失わない安定した守備でゴールマウスを守る齊藤選手。

ただ、鬼気迫る勢いで攻めて来るギラヴァンツに、自陣コートで凌ぐ時間帯が続いたアビスパは、4番川口、24番西村の両選手を投入し、守備モードへシステムもシフトチェンジ。
後半、アディショナルの表示は3分だったが、ギラヴァンツ側からは短く、アビスパに取っては長く感じられた激闘のフィナーレに向けてカウントダウンされると、19時50分。短くも熱い、夏の始まりを告げる様なゲームの幕が閉じられた。

試合序盤はギラヴァンツ北九州U−18のハイプレスに、苦しめられたアビスパだったが、最後は個の力を融合させ、チームの力に換えたアビスパ福岡U−18が勝利し、全国への切符を掴む結果となった。

全国への舞台を掴んだアビスパ福岡U−18には福岡県、いや九州の代表としての誇りを持って、テッペンを目指して戦って欲しい。

惜しくも破れたギラヴァンツ北九州U−18だが、最後まで臆する事無く、闘い抜いた姿勢は、現地に行けなかった北九州のサポーターにも、必ず届いているはずだ。現在は県リーグ2部に所属しているが、今季は1部を狙える位置に着けている。
さらに上へのカテゴリーでの戦いを目指し、アビスパ福岡U−18と肩を並べる存在へ、これからも成長して行って欲しい。
この頃を取材出来た事が、私の自慢話の1つになる様に・・・。
北九州:もう1つの福岡ダービー 〜向日葵の種たちの戦い〜
ここで掲載出来なかった、@DAISUKEさんにお願いした写真。両クラブ選手の情熱が伝わる一瞬をインスタにUPしていますので、ご覧頂ければ幸いす。
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