『第48回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会』
グループステージ Dグループ第2日
アビスパ福岡U-18× 横浜F・マリノスユース
19:00 キックオフ 会場 アミノバイタルトレーニングセンター宮崎 多目的グラウンド
試合結果
アビスパ福岡U-18 2−0 横浜F・マリノスユース
⚽️33分 ⑨前田 一翔(アビスパ福岡U−18)
⚽️70+2分 ㉜サニブラウン アブデルハナン(アビスパ福岡U−18)
(35分ハーフ)
大会特設サイト
GK 1 足立 陸矩
DF 4 甲斐 竣大 5 池田 獅大©️ 25 藤川 虎三 26 小浦 拓実
MF 10 楢崎 佑馬 15 井上 雄太 22 武本 匠平 28 中村 環太
FW 9 前田 一翔 32 サニブラウン アブデルハナン
横浜F・マリノスユース スタメン
GK 1 山下 将真
DF 4 埜口 怜乃©️ 12 山中 優輝 23 早川 優世 24 齋藤 仁
MF 6 徳田 佑真 7 白須 健斗 11 吉沢 実頼 14 関野 愛紀
FW 9 横山 俊介 18 エルシャターブ ブライト 海
試合が終わった後、限られた取材時間の中で池田獅大主将を呼び止め。インタビュー撮影前に少し談笑した。「苦しい時間帯が長くて、観ているこちらがドキドキしたよ」と伝えると。「確かに相手に持たれる時間は長かったですけど、しっかり耐える事が出来ました。それをベースにここまでやって来たので」と。勝利で終えた達成感と、自信を持って戦えた自分達の戦いに満足そうな笑顔で話し。最後に「ここまで持たれるとは思いませんでしたけどね」と、苦笑いしながら話してくれた。
見方によっては守備的と思われる方も居るかも知れないが、あのソフトバンクホークスの投手を引用する言葉を拝借すれば、守備も攻撃の裏返しである。ただ跳ね返すだけでは、精神的にも肉体的にも70分といえどもとても保たない。11人が全て、この守備からゴールへ繋げると想うからこそ、長い我慢の時間帯を凌ぎ切り。少ないチャンスをモノにし、勝利を手にする本物の力へと変えて行く。
激戦区で凌ぎを削っている関東の強豪、横浜F・マリノスユース(以下、マリノス)の多彩なパスワークにも屈しないハードワークで、アビスパ福岡U−18(以下、アビスパ)は、グループステージ突破にさらに一歩近づく勝利を手にした。
前日のベガルタ仙台ユース戦のヒーロー、25番の藤川選手がそのまま30番樺島選手の位置に入るだけで、10人は同じメンバーで挑んだアビスパ。どこまでこのメンバーでマリノス相手にハードワークが出来、またその強度を保ったまま戦えるよう、ベンチのメンバーにも難しいミッションが託される。
早速試合開始からボールを保持し、アビスパゴールに襲い掛かって来たマリノス。4分、自陣から繋ぎ左サイドを突破すると、ゴール前の折り返しを14番関野選手が左足でシュートを放つも、アビスパ守備陣がブロック。
対するアビスパも11人の連動した守備からボールを奪うと、一気に攻撃を仕掛け先制ゴールを目指した。9分、左サイドで獲得したフリーキックのチャンス。10番楢崎選手の早いリスタートからゴール前に優しいボールを送るが9番前田選手には合わず、マリノスのゴールキーパー山下選手がしっかりキャッチ。15分には後方でのボール回しから、右サイドから前線にスルーパスを素早く送るも。裏に抜け出した前田選手は、シュートまで持って行けず。
左右に大きく揺さぶって来るマリノス相手に、僅かな穴も見せない守備で互角以上の戦いをしているアビスパ。追い風の前半の内に先制点が欲しいが、24分にペナルティーエリアやや右で獲得したフリーキックのチャンス。10番楢崎選手がゴール前に送ったボールは、大外の32番ハナン選手には惜しくも合わなかったが、セットプレーでしっかりと相手ゴールを脅かせていると確信していた、前半終了間際の33分。アビスパはコーナーキックから、先取点を奪う事に成功する。
左サイドで10番楢崎選手、22番武本選手、26番小浦選手が粘り強くボールを回し、最後は28番中村選手も絡みゴール前にクロス。惜しくも相手にクリアされるが、コーナーキックを獲得。そしてキッカーは楢崎選手。このチャンス、どんなボールを送るかと思われたが、目の前で座って見ていた私の目線と同じ低い弾道。そのボールに対し、ニアに立っていた9番前田選手は軽くジャンプし、後ろの味方にスルーするのかと思われたが、左足のヒールで合わせたボールは右ポストの内側に当たり、ゴールに吸い込まれて行った。
この意表を突くシュートに、流石のマリノス守備陣もなす術なく、楢崎選手と前田選手の二人の息の合ったプレーで、アビスパが試合の均衡を破った。
追い掛ける立場となったマリノス。後半さらに攻撃のギアを上げ、アビスパゴールに容赦無く襲い掛かって来た。開始2分には途中出場の13番浅田選手の折り返しに、逆サイドから駆け上がって来た23番早川選手がシュートも、アビスパの26番小浦選手が体を張ってブロック。さらにその1分後にも、同じ様な形で11番吉沢選手にクロスを上げられ、シュートまで持っていかれるが、再び小浦選手が体を投げ出してブロックし、チームのピンチを救う。
何とか反撃の糸口を掴みたいアビスパだったが、マリノス守備陣に跳ね返され、シュートまで持って行けず。ここから長い守備の時間が続いて行く。すると47分、中途半端なパスを奪われ、スルーパスに抜け出した13番浅田選手にシュートを決められるが、オフサイドの判定にアビスパは救われる。
「集中しろ!!」と、今大会初めてとも思われる久永監督の檄が効いたのか、再び集中し直した守備でマリノスの猛攻を凌ぐアビスパの選手たち。5番池田選手がパスカットでボールが外に出た54分の飲水タイムまで持ち堪えた。
飲水タイム明け後もその集中力は切れずに、時間も経過し。残り5分を切った所で、22番武本選手と28番中村選手に代え、8番廣田選手と14番吉坂選手を投入し、ゲームを締めに掛かったアビスパベンチ。
システムも5−4−1の様な形になり、あとはアディショナルタイムの4分を耐えるだけだと思われた70+2分。それまで溜め込んでいたパワーを、あの選手が一気にスパークさせた。自陣のペナルティーエリアでボールを拾った5番池田選手が、前線の32番ハナン選手に目掛けて送ったボール。相手ディフェンダーに競り勝ったハナン選手は、一気にゴールを目指してドリブルを開始。最後は冷静にゴールキーパーも交わし、無人のゴールにシュートを叩き込み、勝利を確実なモノとする2点目がアビスパに刻まれた。
そして宮崎の夜空に、試合の終了を告げる主審のホイッスルと、アビスパ選手達の魂からの歓喜の声がこだました。これでDグループで唯一連勝を飾り、首位を保ったアビスパ福岡U-18。グループステージ突破を懸けて、最後に戦うのは勝ち点2差で2位に着ける柏レイソルU-18。今年の春に行われた船橋招待U-18大会で対戦し、0−1で敗れた相手である。ただその頃に時折り見せていた、勝負弱いアビスパ福岡U-18ではない。ここまで積み上げて来た全てをぶつけて、自らの手で勝利を掴んでもらいたい。
運命の第3戦は、明日25日の19時にキックオフされる。
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